レインボーロード
お久しぶりです。
またまただいぶ空きましたがちまちま書いてる私からすると全然久しぶりじゃありません。
タイトルもレインボーロードとかなりかっこつけましたが過度な期待は厳禁です。
相変わらずしょーもなさは健在でございます。
だけど私の中でテカポへ向かう道中は、ごく稀にしか見られない虹のように素晴らしい光景の連続で本当に貴重で素敵な時間でした。
目の前に広がる光景全てを独り占めできたこの道は私にとっては間違いなくレインボーロードでした。
さて、かっこつけから始まったテカポへの旅、ハードルを無駄に上げた気がしてどんな感じになるのか不安要素満載ですがサクッとスタートです。
薄々気付いてはいたんですがどうやら私は車での移動が自分が思っている以上に好きなようです。
なぜ?と言われるとそこはうまく説明できず「ただ好きだから」に限るんですが、
それでも理由を捻り出すと、普段生活する土地から地続きで少しづつ変わっていく景色を見ながら
自分のまだ知らないどこか遠くへ向かえる行為にワクワクしてくるんだと思います。
自分で車を運転し遠いどこかへたどり着いた!と実感できるのもいいのかも。
旅先ももちろん楽しいんですが移動中の車内もそれと同じくらい楽しくて大好きです。
なにより飛行機や電車と違い他人と空間を共有しなくていい車は本当に気がラク。
寒かったら暖房ガンガン(冷え性で寒がりなんです)に出来て
空気が良ければ窓を全開(暑さにはかなり強いのでクーラーは基本必要なし)にして走るのも気持ちがいい。
他人を気にすることなく飲み物を飲んだら思い切りゲップも出せて心置きなく屁だってこけます。
おっと失礼。
我慢は体によくないって話です。
お気に入りの音楽をバカみたいな音量にして大声で歌ったっていい。
あまり電車に乗る機会がなく大人になってしまったので今でも電車だけは苦手意識が強いです。
友人達に簡単だよ、と言われる路線図は脱出不可能な迷路に見える。
飛行機は非日常感がいい。
船は好きだけど三半規管が弱いからすぐに酔う。
そして結果乗り物はやっぱり車が一番好き、と言うか「合う」と言った方がしっくりくるかな。
車に乗り込みテカポで取ってある宿に目的地を設定している間、外でレセプションの彼が見送りでまだすぐそこにいるので妙に焦りました。
割と律儀だな。
早く出ないと寒い中待たせて悪い気がしてくる。
焦り気味な設定が終わり本当にバイバイしクライストチャーチの街を走り抜けます。
住宅街に紛れて立っていた宿を出ると数分で大きめの通りへ出ました。
テカポへの道のりはまず大通りを走るコースのよう。
片側二車線の広い道路の両側には、
スーパーマーケット、ガソリンスタンド、マック、コーヒーショップ、自動車販売の店、学校などの建物が広々と敷地を取り、真っ直ぐな道の左右に分かれて続いています。
車線もこの時はまだ片側二車線あり交通量も多くニュージーランドが車社会だと感じる。
それにしても日本車が多い。
頑張ってるね日本自動車産業!と妙な上から目線で
ちょっと誇らしくちょっと嬉しい気がしてくる。
早めに給油を済ませておかないと途中からガソリンスタンドはおろかお店が全くなくなる、と聞いていたので
値段を見ながら安いとこで入れようと思ってはいたけど、
安い!と思ったら反対車線だったり、
あった!と思ったら入口通り過ぎてたり。
見送り見送りを繰り返しなかなか入れない。
どんくさっ!
この先に何軒ガソスタがあるのかはわからないしそろそろ入れないとまずいかもと焦りが出てきたので値段にこだわるのをやめマックが横にあるガソスタへIN。
さて。
入ったはいいがここでもやはりシステムがわからない。
ニュージーランドも日本と同じく基本セルフらしい。
電卓のように並んだ数字に加えてfullとclearのボタンが。
日本で言うレギュラーはニュージーランドでは91とゆう数字になっていて緑色のノズル。
ハイオクは98で赤のノズル。
軽油は番号は忘れてしまった。
ここまでは知っててもその店それぞれで多少なりシステムが違うしなぁ。。
日本では緑が軽油のノズル。
赤のノズルはレギュラー。黄色のノズルはハイオク。
昔ガソスタでバイトしていた時にこのノズルの色分けは実際のガソリンの色だと聞いたことがありました。
確かに年季の入ったレギュラー車の給油口は赤く染まってた。
更にレギュラーとハイオクでは匂いが微妙に違っていてよく匂いを嗅いで油種確認していました。
それでも一度レギュラー車に軽油を流し込むミスをしてお客さんの車を壊した17歳の春。
こうゆうことだけはよく覚えてるものでお客さんの車はハイエースで、
ハイエースは軽油車が多くてレギュラー車があるって当時知らなかったんだよなぁ。
あの時の油種間違いでの洗浄作業自腹だったなぁ。
社員のブチギレ顔が恐ろしかった。。
その顔見て自腹なんだから許してくれよって思ったんだよなぁ。。。
そんな苦い思い出を思い出しつつニュージーランドはノズルが緑だからもしかしてガソリン緑色なのかな。。と給油口を見てみると色はついてない。
なんでだろう。。
後から調べてみるとガソリンや灯油はわざと着色して油種によって色分けしているようです。
いやいやそんなことはどうでもよくてここからどうしたものか。
fullのボタンを押して給油を開始すればいいのかな。
ちょっと触ってみるが動かない。
周りを観察。
みんなボタン押す工程は終わってるようでノズルを持ちリッター数の表示されるパネルを見ながらボケーーっとしてる。
聞いた方が早いな。
斜め前のレーンにいたサンタクロース体系の優しそうなメガネのおじちゃんを捕獲。
身振り手振りで入れ方がわからないと伝えるとゆっくりな単語英語で説明してくれて
最後に◯◯円分?それとも満タン?と聞かれ、満タン!と答えるとガソリンが出てくるまでの工程をやってくれた。
選手交代し自分でノズルを持ち満タンまでにする。
そしておっちゃん自分のレーンへと戻り自分のも入れ終わるとこっちにおいでーと言いながら手招きをしてくる。
近寄って行くと隣接する店内に向かいながら自分の使っているレーンの番号をレジで伝えて支払いを済ませるんだよ、と歩きながら説明してくれた。
店内に入ると日本のコンビニそのままでトイレはもちろん飲み物がありお菓子がありホットスナックがあり日用品があり。
少し違ったのはパンやマフィンのパン類が置いてあるスーパーにあるような自分で取る形式のパン屋さんコーナーがあることくらい。
場所によってはセルフじゃなく店員さんに欲しいものを伝えて取ってもらうバージョンの所もありました。
2つあるレジは何人か並んでいてその並んでいる間もそのおじちゃんは
どこから来たのか?日本か!日本のどこから来た?私は東京と神戸と福岡に行ったことがあるよ!と、たぶんおじちゃんが知ってる日本についての知識を総動員して色々話してくれました。
こうやってコミュニケーションを一生懸命取ってくれようとする姿勢って外国から入ってきた人間にとっては何より嬉しい事だったりします。
私が日本の愛知県から来たよ、と言うと予想はしていたけどやはり知らないらしく
おじちゃんの頭の上には大きなはてなマークが浮かんでいました。
もっと詳しく説明できる英語力があればなぁ。。
そんなことを話しているうちに自分の番が来ておじちゃんに言われた通りに店員さんにレーン番号を伝え支払いを済ませるとおじちゃんにありがとうを伝えめいいっぱい手を振りバイバイしました。
愛知県ってなんて言えばわかりやすいのかなぁ。
かなりざっくりだけど東京と京都の中間らへんとか
車のトヨタやドラゴンボールとドラクエの鳥山明の出身地と言えば知らない人でも多少ピンとくるかな。
それとも城がやたらとあるから歴史上の人物?
説明って難しいな、伝え切れなくてほんと残念だな、なんて考えながらも出発。
その先もしばらくはまだお店があり焦って給油しなくてもよかったんだな、と思ったけど知らない土地だから仕方ない。
まだ行けるまだ行けると賭けみたいなことはできない性分。
安パイで行こう。
両側にたくさんあったお店も走っているうちにだんだんと数が減っていきそのうち全く何もなくなりました。
そしてその代わりと言わんばかりにここでニュージーランドの代名詞とも言える羊たちの登場。
最初はその羊の多さに声を出して驚きました。
この白い点々の正体こそまさに羊達です。
それにしても羊の多いこと多いこと。
ものすごい広い敷地に放たれているたくさんの羊や牛。
このものすごい広さの牧場の中には、
端から端にかけてローラーがついた水を撒くような機械が置いてある。
言葉での表現が難しいんですが、やじろべえのような形と言えばいいのかな。例えが古すぎるか。。
T字になっていて縦の部分の下にはタイヤがついていて横の棒の部分から地面に向かって何かが撒かれるような形。
たぶん牧草を育てるためにこれで水を撒いているんじゃないかな、と予測。
これが相当な大きさ。
牧場と道路の間には風除けなのかかなり背の高い真っ直ぐな木が規則正しくびっしりと並んでいる所がたくさんありました。
だんだんと山道になってきても現れるのはやはり牧場。
その羊の多さ!
大地の広大さ!
その見たこともない光景の連続にかなり心が踊りました。
気持ち悪いですが1人車内で興奮し、かなりしゃべっていました。
割と大きめの声で。
街を抜け郊外を抜け牧場と山しか見えなくなると信号は全く無くなり道も一車線へとなる。
すれ違う車もまばらになってきた。
ニュージーランドでは一般道からそのまま突然高速道路になります。
無料なんです。高速が。
北島には有料のところが一箇所だけある、なんてネットで見たかな。
そして街中を除き時速は最低でも100キロは出してないとちんたらと走る迷惑ドライバーとなります。
私も結構スピードを出して走ってはいたんですが時々後ろから猛スピードで車が現れ抜かされることもしばしば。
ほとんど一本道だったのにどっから来たんだあの車。
しばらく走っていると右折する箇所に差し掛かり目の前に看板が。
看板にテカポの文字が!
もうこれだけでも嬉しい。
少しづつテカポへ近付いてるんだ。。
そう思うと嬉しくて楽しくて仕方ありません。
少し休憩、と車を降り体のあちこちを伸ばしタバコを一本吸って灰と吸い殻を携帯灰皿に入れてから看板と記念写真を撮り友人や家族に送りつけ再び出発。
気持ちよく山道を走り続けているとついにやって来ました。
私の旅のお供。雨雲君の登場です。
走りながら怪しいなとは思っていましたが大本命のテカポへ向かう途中でようやく私の元へたどり着いたようです。
雨雲に愛された女の宿命です。
一方的な愛にうんざりしつつもどこかでやっと来たかと思ったりもしました。
嫌よ嫌よも好きのうちってやつです。
嘘です。実際はこのタイミングかと大ブーイングでした。
ニュージーランドに来て曇りはあっても雨に降られたのはここで初めて。
と言ってもまだ2日目ですが。
それでも行きだけで3回も飛行機に乗りその全ての飛行機が遅延もせず無事予定通り飛び立ち、そして無事降り立ったからまぁよくぞここまで我慢してくれたとそう考えよう。
理想が低過ぎてちょっとしたことでハッピー変換です。
時刻は13時過ぎ。
フロントガラスに当たる雨をワイパーで弾きながらテカポへ向かって進んで行きます。
車内はお気に入りの音楽が流れ、雨に降られながらも私の気分は最高にいい。
お腹が徐々に騒ぎ出しそういえば朝から何も食べてないのを思い出し、
思い出した途端猛烈に何かを食べたくなる。
後部座席に放り込んだ昨日スーパーで買ったブラウニーの入ったビニール袋を片手で引き寄せブラウニーを取り出す。
四ブロックが1枚になった大きなワンブロックを細かく割って一つつまむ。
昨日開封した時は外サックリの中しっとりだったけど
1日経って若干しっとり感が増した気がする。
それでもおいしい。
これは空腹じゃなくてもおいしい。
けど今は空腹だから最高においしい。
ニュージーランドの美味しいお水を飲みながらペロリとワンブロックを平らげました。
お腹も満たされしばらく走っていると旅のお供も少し遠慮したのか雨もあがり周りが山なのは変わらずだけど急に視界が開けた。
目の前には眩し過ぎるほどの夕陽。
うわぁ、と思わず1人呟き車を止めて降りました。
雨に降られ濡れた地面が夕陽を反射させてオレンジ色にキラキラしてる。
カメラを取りに車へ戻ろうと振り返ると、そこには大きな虹。
道路を跨ぐように虹が二本架かってる。
あぁ、心底歓迎されてるって気がする。
こんなにも素敵な旅になるなんて思ってもなかった。
来てよかった。本当に来てよかった。
カメラを用意するのも忘れしばらくその光景に見入って感動していました。
我に返り慌てて写真を撮った時にはすでに一本は消え、もう一本もかなり薄くなってしまいました。
薄い虹をカメラに収めてからもしばらく1人そこに立ち尽くしていました。
夕陽はまだまだ登っていますがだんだんと山と山の間へと近づき沈んで行こうとしています。
そこでハッとしてテカポへ向かわなきゃと思い出し車に乗り再び出発。
テカポまではあと少し。
さて、レインボーロード編ですがほんとに虹が出ました。
なので単純明快にレインボーロード。
後にも先にも車の移動でこんなにも感動した道中はここだけでした。
クライストチャーチは素敵な街です。
それでも街中よりも自然が好きな私はこの車移動の時に初めて自分の理想とする旅が始まった瞬間でもありました。
もちろんここまで来る過程も初めての体験ばかりで面白がる気持ち少々に不安と怖さてんこもりの自分なりの小さなチャレンジを重ねる旅でした。
これはこれでいいんです。
けど良くも悪くもガッチガチでした。
テカポへ向かうその4時間でリハビリのように少しづつ肩の力を抜いて
大きく息を吸い、体にこの国の空気を溶け込ませて
ここでようやく自由になれた気がします。
そして自由になれたのでとりあえずここで今日は終わり。
次回テカポ到着編です。